ロッカロッコ

パンクロック・メロコア好きの筆者が気に入ったバンドを、邦・洋問わず書き溜めていきます。

細美武士と救い

五月が終われば五月病も終わるだろうと思っていたのですが、今度は梅雨の季節が来てしまいました。私は相変わらず病んでいて、落ち込んでいて、心の中になにか重たいものを抱えています。

 

先日楽しいフェス記事を更新したばかりで何を言っているんだ、と思われるかもしれません。「生きてて良かった」って言ってたじゃないか、と。

別に何かがあったわけじゃないんです。むしろ、何もないからこそというか。楽しい時間が過ぎ去ったあとの孤独に、うまく対処できないことがよくあります。時々、それがとても耐えがたくなることがあります。

 

そういう時に、いつも心を救ってくれるのは、細美武士の綴る歌詞です。

 

私は以前、こんなことを言ったことがあります。「『細美バンド』なんて括り方は気に食わない。エルレもモノアイズもハイエイタスも全部違うのに、細美バンドなんてひとまとめにしてる奴は、細美武士がいれば他のメンバーはどうでもいいのか」と。

 

正直、この思いは変わりません。だけど、ひとつ共通していることがあるとすれば、それは彼が作詞をしているということ。もちろん作曲もしているかと思いますが、アレンジをするのは他のメンバーで、曲調も違います。

ただ、どのバンドにいても、歌詞の節々には、きっと細美武士が抱えているのであろう、そしてもしかすると私が抱えているものと同じかもしれない、「孤独」が表れています。

 

辛いとき、どうしようもないとき、誰に頼ればいいのか分からないとき。彼の歌を聴けば、ここに一人でも、自分の気持ちを分かってくれる人がいるんだと、安心することができます。

 

 

それは彼自身を主体として歌われる場合もあります。

 

Give me something that I'll never fail

Give me something that I understand

Give me something that I'll never lose again

 

ー Mr. Feather / ELLEGARDEN

  

私自身が求めるものを、私の苦しみを、彼が、彼自身の気持ちとして言葉にしています。そういうとき、私は歌詞に自分を重ね、曲に浸ることができます。そして、私と同じような思いをしている人間がいることに、私の思いを分かってくれるであろう人間がいることに、安心を覚えます。

 

あるいはこちらに語りかけてくれるときもあります。

 

You're not crazy

You're not unreal

You're just complicated

 

ー Middle Of Nowhere / ELLEGARDEN

 

周りの人に本心を話したとき、「病んでるの?」「メンヘラじゃん」「こじらせてるね」と言われることがよくあります。やっぱり自分はおかしいんだな、と思うことがたくさんあります。私は人に受け入れられる人間じゃないんだと、虚しくなることがあります。

だけどこの曲を聴くとき、「おかしくない」と、「複雑なだけなんだ」と、言ってくれる存在がいます。そして最後に、こう伝えてくれます。

 

I won't deny you I won't ignore you

Do you hear me as I sing here

 

もちろん、細美武士は私のことなど知りません。この歌は私に向けられたものでもありません。それでも、もしこの人に話せたとしたら、きっと分かってくれるんじゃないかって。そういう希望を与えてくれます。

 

なぜなら、「君」じゃなくても、第三者であっても、彼はその心を向けてくれるから。

 

Now she's looking for someone

She's not just hysterical

She just needs a guy to talk to

She just needs someone to help

Now he's waiting for someone

He's not just egotistical

He just needs someone to drink with

He just wants to be involved

Deep inside

Deep inside

 

ー Leaving Without Us / MONOEYES

 

さっきも言った通り、この「彼女」や「彼」は、決して私のことではありません。私の苦しみは細美武士には全く無関係のところで起きていて、私の気持ちなんて彼は知らない。

だけど、それでも、ここには私の気持ちが歌われていて。他の人が「病んでるね」で片付けてしまうことを、彼は理解してくれて、歌ってくれているんです。そしてその歌が私の元に届いている。こんなに救われることってないんです。

 

もしかすると、I も me も you も she も he も、全部彼自身のことなのかもしれません。それでいてこれは全部、私自身のことでもあります。だからこそ、彼が私を知らなくても、私が彼を知らなくても、私は彼を全面的に信頼することができる。彼の言葉にはいつだって嘘はないから。

 

 

こんな人間として生きていくのは、結構大変です。上辺ではそれなりに人とうまくやっていける。でも、心から安心して一緒にいられる相手って、なかなか見つからないんです。

誰だってそうだよ、とみんな言うけれど。誰だってそうなら、私は病んでいないはずで、こじらせていないはずで、めんどくさくないはずで、難しくないはずなんです。

 

 

「救われたい」と、「受け入れられたい」と、ずっと思っています。その気持ちがごまかせなくなったとき、細美武士の歌を聴くと、私の居場所がここにあるんだ、と思えます。私の「救い」はここにある。

 

ずっと一人でも、そばに誰もいなくても、理解してくれる人がいなくても。これだけで生きていける理由になるんじゃないかと、思ったり思わなかったり。

エルレガーデンが活動再開を発表してちょうど一ヶ月、そんな雨の日曜日でした。おしまい。

 

 

 

【2018/06/18 追記】

 

また抗いようのない感情の波に襲われた夜がありました。息も整わないような苦しさがあって。でもやっぱり、彼の声を聴くと、心が落ち着いていくのが分かりました。 

『Clone』を聴いていて。私はずっと、この自分の孤独が救われたいと思っていたけど。ふと、彼の孤独も救われればいいなと思いました。

 

 

もし彼の中の、二度と笑わない「clone」が笑える日が来たなら。もし、彼が自分自身を許せる日が来たなら。もし、この十年ずっと私を救ってくれた彼が、心から幸せになれる日が来たなら。それは、私にとっての希望にもなるから。

 

私が彼に救われてきたように、私も、彼が救われればいいなと思いました。エゴまみれの苦しさの中で誰かの幸せを心から願えたのは、生まれて初めてのことだった。それが赤の他人というのも変な話ではあるけれど。

 

 

一通だけメッセージを送りました。きっと彼に寄せられているであろう、何百、あるいは何千というメッセージの中から、私のその言葉が本当に彼に届くかは分からないけど。でも、伝わればいいなと思う。私が私の幸せを願うことは、彼の幸せを願うことと同じだから。

 

 

ここにいてくれてありがとう。

 

あなたが満たされる日がいつか来ますように。