ロッカロッコ

パンクロック・メロコア好きの筆者が気に入ったバンドを、邦・洋問わず書き溜めていきます。

【第三十回】The Hiatus - Clone

いつも(あるいは時々、あるいは今回だけ)ブログに目を通してくださってる皆様、ありがとうございます。第三十回と、またひとつ大台に(中台ぐらいかな)乗りました。

今回は the HIATUS から【Clone】を紹介します。ちょっと記事が長くなるかもしれない。

 

www.youtube.com

 

the HIATUS(ザハイエイタス)

日本・東京(?)のバンド。5ピースというべきなのかな?ジャンルはオルタナ

ELLEGARDENの休止後、2009年に細美武士がプロジェクトとして立ち上げたバンドです。

 

なぜ今日このバンドを紹介しようと思ったかというと、これを書いているのが8/17なんですけど、一日中なーんもしなかったんですよ。まじで。本当なにもしてない。

 

多分ほとんどの人が「理由になってねえよ」って思ったんじゃないかな。でも、何もしない日って、自分がどのモードにも入ってない日なんです。何もピンとこない日。無の状態。

例えば「今日は遊ぶぞ!」みたいな日はポップな曲が聞きたくなるし、病んでると暗めの曲が聞きたくなるし、そういう「その日のムード」ってあると思うんですね。

 

でも今日の私はどこにも属さない。そういう日って大体、ハイエイタスがしっくり来るんです。なぜなら、どこにも属さないバンドだから。

 

 

ハイエイタスの結成当初、ファーストアルバム聴いたとき、すごくいいなって思った。

で、セカンドアルバム聴いて、「あ〜いいけど、前のほうが好きだったな」って思った。サードアルバムを聴いて、「ちょっと違うな」ってなって、それからあんまり聞かなくなった。

 

でもそれは、ハイエイタスにジャンルを求めてた頃の話です。

しばらく聞かなくなってから、ふいにサードアルバムの曲がiPodのシャッフルで流れてきて。「あれ、いいじゃん」ってなって、持ってたアルバム全部聞き直した。全部違うけど、全部かっこいいんですよ。

 

それ以降に出た曲を聴いても、やっぱりどれも一つ一つが違ってて。作風が変化してて。日本語の「アーティスト」っていうよりも英語の artist、「芸術家」ってイメージ。

いうなればピカソっぽい。詳しいわけじゃないけど、ピカソって、一生のうちに作風がすごい変化してるじゃないですか。自分の経験や思想、他の芸術から受けた影響が、それぞれの時代に色濃く反映されてる。ハイエイタスのアルバム、そして細美武士という人は、そういうイメージを抱かせる。

 

 

このバンドが結成されて、"the HIATUS"、つまり「休止」ってタイトルがつけられた時点で、私は「エルレのことかなあ」って思ってた。ファーストアルバムの曲も、「完全にエルレのことだなあ」みたいなの多くて。

何があったか実際のところは知らないけど、細美さんはELLEGARDENがすごく好きだったんだろうね。楽しかったんだと思う。活動休止に至ったのは間違いなくかなりの傷になったと思うし、ファーストアルバムの歌詞にはそれがすごく表れてたと思う。どれだけ曲を書いても、その経験とまったく無関係のものは作れなかったんじゃないかな。

 

あれからそれなりの年数が経って、ハイエイタスだけじゃなくてモノアイズの活動も始めて、ジャンルをまたいで色んな楽曲を作って。「細美武士」という人が、単体で相当な名声を集めて。そういうファーストアルバムの苦悩はもう乗り越えて、今は今で楽しく音楽を作ってるのかなと思ったりもしてた。

 

でも、冒頭に載せた【Clone】を聴くと、そうじゃないことが分かるんですよ。彼は今までの苦悩を全部忘れてるわけじゃないんだと、全部抱えて生きてるんだと。

それは必ずしも今も苦しんでるというわけではないけど。でもやっぱり思い出すことって絶対あるじゃないですか。自己嫌悪に陥るような経験とか、後悔の念に苛まれることとか。

ただ、そういうのも全部、自分の中に、自分の一部として存在してるって。それを受け入れられるようになったんじゃないかと思うんですね、この【Clone】を聴くと。

 

こないだジャパンのインタビューで、LOW IQ 01 と対談した時に、こう言ってたんですよ。

 

俺は自分のいびつさと、どう向き合うべきか悩んでいたから、いびつな形のまま、そこで筋を通している人たちがいっぱいいるのを眺めた時に、そっかそっか、もういびつさは受け入れるしかないんだなって。そこに誇りを持って、足りないところがあるのを自覚しながらやっていけばいいんだと。

LOW IQ 01×細美武士、スペシャル対談!(2017/08/09)邦楽インタビュー|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 

これこそまさに、彼がストイックにいい音楽を生み出し続ける所以だなと思っていて。「細美武士」という人は、常に苦悩や欠損を抱えた人間なんだと思うんです。

 

人間は、現状に満足するとそこで終わってしまうから。常に新しいものを、常にベストを求めていく姿勢がないと、特に創作活動なんていうものは続いていかないはず。

だから、常に苦しんで、悩んで、救いを求めて、変わりたくて、っていう思いがあるほど、良いものを生み出していけると思う。本人たちは辛いだろうけどね。笑

 

今の細美さんは、その「苦悩や欠損を抱えた人間」である自分を認められるようになって、昔に比べると、自己否定的な作品は少なくなっているのかな。

というより、そういう自分の内側の葛藤からは少し抜け出して、対外的な作品が増えているようにも思う。震災とかの影響もあったんだろうけど、これまでの「自分を救う歌が誰かの救いになる」から、純粋に「人を救うために歌う」っていうのも増えてきてる印象があるというか。

 

もちろんまた、自分の中に抱えてる「過去の自分」とか「もう一人の自分」に苦しめられて、どうしていいか分からなくなる時も絶対あるだろうけど。で、作品にそれが反映されることもあるだろうけど。(失恋とかしたら結構すぐそういうモードに入っちゃうんじゃないかと思う。笑)

まあそれも含めて「受け入れる」ということなんじゃないかと私は思うし、細美さんが取り入れた色んな経験や文化やその他すべてのものが、どういう風に作品として現れるのか楽しみでもある。

 

「変化を楽しむ」ということを初めて教えてくれたのが the HIATUS であり、だからこそ自分がどこにも当てはまらないような日には、このバンドを聴きたくなるなと思ったのでした。

 

 

(追伸)

いろいろ言ってもやっぱり好みや気分というのはあるし、他のバンドに対して「こういうものを求めてる、こういうのが聴きたい」ってのがなくなったわけではないです。こないだのモノブライトの記事とか思いっきり「初期の感じが聴きたい!」って言ってるしね。

ただハイエイタスに関しては、そういう変化も一つの芸術の形なんだなと捉えるようになりました。だから逆に変わってくれなきゃ面白くない。色んな面を見せてほしいし、これから細美さんが他のどんなバンドをやっていくことになっても、ハイエイタスはプロジェクトとして続けてほしいな。

 

 

Hands Of Gravity

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Clone

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